こんにちは、こんばんは。
気がついたら秋のG1シーズンが目前です。
秋のG1一発目であるスプリンターズSの事前準備として知ってたら得するかもしれない血統与太話をしていこうと思います。
この記事の要約
米国血統にこだわりすぎると痛い目をみるかも
ロードカナロア産駒は思ってるよりも来てない
欧州血統がほりにしのスパイス
はちの仔流血統の使い方はこちら
短距離でよく見る血統の解説
大まかに「○○産駒がいい」と見ていくことについては間違いではありませんが、それだと某ミッキーアイル産駒の牝馬2頭を問答無用で買えなくなってしまいます。
なので手始めに会場関係無しにとりあえず「短距離でよく見るな~」って名前の解説をしていきます。
Storm Cat(Storm Bird)
まずはStorm Cat(ストームキャット)から。
ダービー馬キズナや海外G1で活躍したラヴズオンリーユーの母父でもあるため配合次第では中距離路線でも活躍できますが、切っても切れないのがロードカナロア。短距離レースの血統を見る際、まず初めに「カナロアか、それ以外か」で見る方が多数いらっしゃるかと思います。では、ミッキーアイル産駒で母父StormCatのナムラクレアは?そういう話です。
近年ではドレフォンやブリックスアンドモルタルの輸入によりStormCat直系の種牡馬も見るようになってきました。基本的には早熟・米国由来のスピード血統とネットの海では説明されがちですが、StormCat単体ではスローの瞬発力勝負が苦手なためそこを他の血統で補う必要があります。
元々はアメリカのダート馬なので純粋なスピードに加えてパワーも補えることから日本においては名前の猫や鳥から連想される機敏さがあまりなく多少ズブいのかもしれません。
そのちょっとしたズブさを補える配合になって始めて活きてくる血統だと思います。
Danzig
続いてはDanzig(ダンジグ・ダンチヒ)です。
正直覚えるのが無理ゲーです。
Danzig自身もアメリカの競走馬ですが、怪我により底を見せぬまま引退。種牡馬入りしたところ短距離馬めっちゃ出すやん!と産駒にめちゃくちゃスピードを伝えた馬です。産駒成績があまりにも良すぎるので世界中にその血が広まった結果、後継が様々な距離に対応できるようになりました。
この様々な距離に対応可能というのがポイント。
Danzig≒短距離血統と覚えてしまうと他の距離のレースで血統を見る際に地獄をみます。
米国型Danzig
Danzig
Chief’s Crown(チーフズクラウン、母父ならアグネスデジタル、ディープスカイ)
Concerto(Chief’s Crownの産駒)、Bellamy Road(Concertoの産駒)
チーフベアハート(Chief’s Crownの産駒、アメリカの2400巧者)
トビーズコーナー(Bellamy Roadの産駒、日本ならソリストサンダーの父)
アジュディケーティング(南関のサンデーサイレンスと呼ばれたそうな)
欧州型Danzig
Green Desert(グリーンデザート、日本ならシンコウフォレスト(高松宮記念)、メジロダーリング(函館SS、アイビスSD)
ケープクロス(グリーンデザートの後継、ロジユニバースの母父、産駒は凱旋門賞勝ってたりする)
Sea The Stars(シーザスターズ、ケープクロスの後継、ゴリゴリの欧州馬、バーイードの親父、察してくれ)
ベーカバド(日本に輸入されたケープクロスの後継、中央の産駒成績は微妙、地方ダートならなんとか)
デインヒル(世界中に広まってる、産駒の距離適性は幅広い。代重ねるとスタミナも付加されてくる、ハービンジャーとか)
ハービンジャー(日本だと万能種牡馬だが後継が危うい)
Redoute’s Choice(リダウツチョイス、オセアニアで無双、産駒の牝馬が日本に輸入されてるので母系で見かけるかも)
上記のように多種多様な後継に恵まれているため覚えるのしんどいです。
なのでDanzig単体については「とりあえずスピードは保証される」程度にしておきましょう。
血統表の手前にあればあるほどスピード色強め、奥ならもれなくおまけプレゼント血統くらいのノリで。
サクラバクシンオー
後継はいるけどバクシンオー産駒の現役はいないのでこちら。
日本の名スプリンターです。
どんどん血統をさかのぼるとPrincely Gift(プリンスリーギフト)に行き着くのですが、これが英国のスプリンター。
産駒も短距離馬が多く、日本にも何頭か後継種牡馬が輸入されテスコボーイからはトウショウボーイ、サクラユタカオーが後継として血を広めましたが現状残っているのはサクラユタカオーのみ、つまりサクラバクシンオーの直系ぐらいでしか名前を見ることができません。
例によってスピード系の血統で、産駒も短距離~マイルまで。
しかし、キタサンブラックの登場により「母父なら配合次第では距離不問なんじゃね?」説が浮上。
スピードいい所取り、テスコボーイ自体産駒が色々な距離で成績を残している上にトウショウボーイからは三冠馬もでているのでよく言う「母系の特徴を引き出す」馬なのかもしれない。
Cozzene(コジーン)
おそらくアドマイヤコジーンで見かける名前。
短距離マイルが多め。
Forty Nine(フォーティナイナー)
ゴリゴリの米国血統、スピード系なので日本の短距離馬なら3,4世代後ろ辺りによくみる名前です。
スプリントに限ればパワー分で49>サンデーです。
とりあえず入ってたら脚が速い可能性高いです。(適当)
Fappiano(ファピアノ)
米国におけるMr. Prospector系の主流馬
日本だとエンパイアメーカーやUnbridled’s Songの馬で見かけるかもしれません。
基本はダート馬をだしますが母系にいるとスピード強化がされます。
以前X(旧Twitter)にて有識者が「Unbridled’s Songが入っている馬は高速馬場巧者」的なことを言っていたのをチラッと見かけたことがあるのでそういうことでしょう。
Devil’s Bag(デヴィルズバッグ)
たまーにくらいですが今年(2023年)のスプリンターズSの出走馬にいるので一応説明。
そもそもヘイロー系なので気性がちょっとアレ。
米国血統で芝ダート問わずスピードの持続力プラス系血統です。
タイキシャトルの父なのでウマ娘ユーザーならその万能さに納得がいくかもしれない。
【激レア】Man O’ War(マンノウォー)
マッチェム系の短距離血統。
カルストンライトオで検索ゥ!
まとめ1
独断と偏見で選んでみた上に途中説明が雑。
要はとにかくスピード、スピード、スピード、たまに重馬場とか坂上るためのスタミナとパワーという感じです。
実際にスプリンターズSを見ていく
とりあえずカナロア産駒が出走可能になる2018年以降の馬券内の馬を見ていきます。
そもそもピッチ走法だとかストライドだとか血統面以外の事象が関係して来る可能性が0どころか100くらいはあるので取捨選択に悩んでる方のみこのまま読んでいただけると幸いです。
実はロードカナロア産駒の成績は微妙
2018年以降、ロードカナロア産駒がスプリンターズSで馬券に絡んだのはダノンスマッシュ1頭のみ、しかも2,3着。高松宮記念になるとダノンスマッシュ、ファストフォースの2頭が勝利していますがスプリンターズSではまだ勝ち馬が出ていません。
今後出てくる可能性が無いとは言いきれませんが他の短距離重賞に比べると1枚落ちるのが現状です。
各年の出走馬はこちら
2018年
出走無し
2019年 勝ち馬タワーオブロンドン(1:07:1)
1枠2番1人気 ダノンスマッシュ 牡4 3着 (1:07:2)
8枠15番10人気 イベリス 牝3 11着 (1:08:0)
8枠16番7人気 ファンタジスト 牡3 16着 (1:09:3)
2020年 勝ち馬グランアレグリア(1:08:3)
2枠3番3人気 ダノンスマッシュ 牡5 2着 (1:08:6)
5枠9番5人気 ダイアトニック 牡5 13着 (1:09:7)
2021年 勝ち馬ピクシーナイト(1:07:1)
3枠5番8人気 ファストフォース 牡5 15着 (1:08:6)
7枠14番1人気 ダノンスマッシュ 牡6 6着 (1:07:8)
8枠15番16人気 ロードアクア 牡5 16着 (1:09:0)
2022年 勝ち馬ジャンダルム(1:07:8)
2枠4番10人気 ダイアトニック 牡7 4着 (1:08:0)
4枠8番12人気 ファストフォース 牡6 10着 (1:08:3)
勘の良い方であればお気づきかもしれない。
ダノンスマッシュ以外は人気薄なのです。
そもそもとりあえず内枠買っておけレースでもあるので外枠になった瞬間に2021年のダノンスマッシュのように僅かに及ばずという結果もありうるということです。
スプリンターズSでやれたダノンスマッシュとやれなかったファストフォース、両G1馬の血統構成を比べてみます。
血統だけを見るのであれば両者差が出るとしたらもう母系しか無いです。
まず両者共に米国Danzig持ちなのでスピードは保証されています。
ダノンスマッシュにおいては母がRoberto(ロベルト)のクロス持ちなので多少タフなレースに対応できる可能性あり。香港スプリントを勝っているので洋芝で香港の猛者に対応できるスピードも持った馬という感じがする。
対してファストフォース。
翌年に更新されてはしまいましたが一時は1200mの日本レコード保持者、ゴリゴリの快速馬です。
重馬場も対応出来ますが日本の競馬場の排水力を考えるとそんなに変わらん。
母父サクラバクシンオーということで内国産馬産駒に限ればスプリント馬で考えうる最強の配合とも言えます。母系にNijinsky(ニジンスキー)がいるのでスピードを持続させるスタミナは担保されていますがレコード勝ちした後斤量であったり不調続きでその後は中京ならやたら走る馬となっています。
中京は中山同様急坂はありますが坂を登った後の直線でもう一押しできるのは中京なのかなぁ。
亀谷先生の言葉を借りれば競走馬の能力は一定ではない上に、鞍上の慣れ不慣れ、天候等様々な要因はありますがRobertoの有無の差があるのでは?とまずひとつの論。
案外重ための血統もくる
この後、血統が重い軽いという謎の表現が出てきますが
重い→欧州っぽいスタミナとかパワー系
軽い→ゴリゴリのスピード血統
と何となく雰囲気で読んでください。
スプリンターズSはスピードや!米国血統!と思った方へ、 それはノーです。
確かにフォーティナイナー系等のゴリゴリ米国スピード系産駒の馬も来ていますがそれだけでは中山1200mは勝てません。
先程のダノンスマッシュ同様、Robertoのような短距離戦では嫌いたくなる重ための血統を持っている馬が来てたりします。
最たる例が2022年の勝ち馬ジャンダルム。
ジャンダルムの父であるKitten’s Joyは活躍こそアメリカですがゴリゴリの欧州血統のSadler’s Wells系の種牡馬です。そもそもKitten’s Joyって誰やねんって話です。
私も今調べました…。
何となく血統を齧ってると「米国の馬だけどライン的には欧州血統っぽいんだよなぁ、本当に速く走れるの?」と思ってしまうような馬に見えませんか?これが血統の罠です。
3着だったナランフレグもゴールドアリュール産駒で大半がダートで活躍する種牡馬、母父ブライアンズタイムと一時日本で天下を取りかけたRoberto系の馬なので字面だけなら短距離どころか芝のレースで買いたくない馬です。
ちなみに大外ぶん回してわずか届かず5着のナムラクレアもよく見るとRobertoを持っていたりする。
21年勝ち馬ピクシーナイトは3歳の斤量負担による有利があったかもしれませんがモーリス産駒なのでRoberto系の馬、他にも開けていくと君ほんとに短距離走れるの?マイルくらいに距離伸ばした方が良くない?という馬が結構います。
この説の上振れがグランアレグリア、何も言うまい。
単純に競馬というのはクラスが上がれば上がるほど展開が速くなり前が潰れて差し追込が決まるという説もあるので、いわゆるスピードの持続力やゴール前の坂、そんな快速馬たちの上澄みの上澄み同士の戦いとなれば1200よりも長い距離で一定のスピードで追走できる能力が必要になってきます。
そのためゴリゴリにスピードに寄った軽めの血統構成ではなく、多少重ための欧州血統が入った馬の方が耐えられるのではないかと推測できます。
ちなみに中山芝1600mの好走歴があるとなお良いです。単純に中山芝1600も同じおにぎり型コースを使うためです。ジャンダルムも中山芝1600で好走していました。
中山適正おじさん「中山適正は大事だぞ!」
まとめ2
血統から話が一瞬逸れた気もしますが、中山の急坂、G1のペースを踏まえるとスピード100の血統よりもスピード80スタミナ20という感じの馬から行くと良いのかもしれません。
スタミナともなれば欧州血統や重ためのサンデー系の血が必要になってきそうですね。
なきゃないでも能力だけで勝てる馬もいるのでこの場においては欧州血統は「ほりにしのスパイス」、あったら美味しい。
実際に2023年はどうなのか
【結論】枠順でてみないと分からない
最終予想はnoteへ投稿しようとおもっているのでX(旧Twitter)のチェックお願いします!
一旦みんな気になりそうな馬だけみていきます
ナムラクレア
昨年は大外ぶん回して3着とタイム差無しの5着。
ミッキーアイル自身は1200~1600の馬でG1こそNHKマイルカップ、マイルCSを勝利していますが高松宮記念、スプリンターズSも馬券内と先ほどのマイラーの方が有利かも論に該当する馬だったりします。母父が短距離マイルのDanzig系の馬なのでね、ディープインパクトと掛け合わせてそうなった感はある。そして母父StormCat、これのおかげでナムラクレアは1200なら雨が降ろうが洋芝だろうが坂があろうが戦場選ばない気がします。
ナムラクレアはヴィクトリアマイルに挑戦するも8着、ただし内枠をとった阪神JF、桜花賞では5着、3着と距離ロスがなければ1600でもギリ、という戦績ではあるので1200なら余裕で脚がもつ計算になるかと。
実はナムラクレア、牝系図をみるとバゴと近親。
バゴ産駒で有名なのはクロノジェネシス、ステラヴェローチェ、お察しである。
母親が米国牝馬なので陰に隠れているが牝系の元は欧州系なので隠れ重たい血統だったりするのです。
メイケイエール、ママコチャ
牝系が同じなのでまとめて紹介。
メイケイエールはシラユキヒメに続く白毛一族、そのシラユキヒメの娘であるブチコから生まれたのがママコチャです。どっちも白くない?可哀想なこと言ってやるな。
ブチコの子供かつクロフネ産駒ということでママコチャはソダシの全妹です。ソダシは1600のプロですが最近スプリンター体型になってきたとちらほら聞こえてきたりもしています。
対して妹ママコチャは1600でタコ負けしたので1200一本に絞ったような馬柱。
クロフネ産駒であればカレンチャンやスリープレスナイトとスプリンターズS勝ち馬がいるにはいるので問題なし。ターコイズS(中山芝1600)に関してもそんなにタイム差のない5着なので中山適正は問題なさそう。ママコチャに関しては最近条件戦から勝ち上がってきた馬なので他の出走馬との能力差や枠順等他の要因で切り貼りするしかなさそうです。
対してメイケイエールですが、こちらはナムラクレアと同じくミッキーアイル産駒、母父ハービンジャーとお前ホントにスプリンターか?寄りの血統です。
折り合い付けば1600行けるって謙ちゃん言ってたもん!
一応武豊が喧嘩しながらチューリップ賞やれてる馬なので、折り合いが付けば有力候補です。
もう一度いいます、折り合いが付けば、です。
レース始まってみないとわからんとも言う
アグリ
メイケイエールといい血統以前の問題が多い馬がこんなにいて大丈夫かのアグリ。
よくわからん血統の馬です。
ヨハネスブルグなら聞いたことがあるのではないでしょうか?ヨシオの親父です。
StormBird系なのでスピード極振りではありませんがまぁまぁスピード寄り。
ここに比較的Danzigが近いWor Frontに母系には欧州で猛威を振るったガリレオがいるのでTHEお前ホントに短距離やれるんか血統の馬です。前走のセントウルSもそれで切りました。
高松宮記念も大負けしているわけではありませんがファストフォースにトラヴェスーラと比較的1200専門の馬が馬券内のレースだったのでガリレオの分スピード負けした気がする。
そのため今回急坂の中山で巻き返しあるのでは?と思いたいのですが横山典弘の四文字。
アグリが「よっしゃやったるで~!」の気分ならポツンとしないはずなのであとは枠順ですかね。
ジャスパークローネ
追い切り予想家の皆様の見解と枠順で最終決定しますが今のところ本命です。
買い時は確実にCBC賞と北九州記念だったけどそんなん気にしない。
まずマル外なのでようわからん血統です。
父はゴリゴリの米国血統、母父は先ほど紹介したジャンダルムの父であるKitten’s Joy。
このゴリゴリの米国血統ですが、シアトルスルー系の中でもA.P.Indyに連なるサイアーラインなのでちょっと血統齧ったかたなら「なんでダート走ってないの?」と思いたくなる種牡馬です。マル外でようわからんし。とはいえ米国のダート馬の上澄みは日本の高速馬場に適応できるので毎年高速になりがちな夏の小倉でもやれるのです。ちなみにTapitはグランアレグリアの母父。
そして偶然にもこの馬はRobertoも内包しているし、Deputy MinisterやStormCatのようなきもち重たいノーザンダンサーも入っているので今この瞬間この記事はジャスパークローネのための記事になってしまったということです。
一応弁明すると、ダノンスマッシュの話書いてるあたりまではマッドクールおもしろそうやなって思ってました…。
逃げ馬なのでとにかく他よりも一番前で一番速く走らなくてはいけないのでマイル実績が無くても体力は必要ですからね…。
加えて中山の成績がとてもいいので中山適正おじさんもにっこりです。出遅れなければ
枠順次第では評価をさげますが血統だけでみるなら個人的に欲しいパーツがそろった血統です。
総括
ということでざっくり考察してきました。
大分端折ったので興味のある方は自分でしらべてみてください。
まだまだ勉強不足で荒削りな内容ですが馬券の参考になれば幸いです。
本命内枠入って10馬身突き放してくれ~~~~~~~!!!